2014年10月29日水曜日

柳さん講演会

本日、鉄門手話の会主催で医学部生を対象とした講演会を開きました!
ご登壇頂いたのは、手話の会も何度かお世話になっている本郷の手話カフェ『Sign with Me』のオーナーでいらっしゃる柳匡裕さん。お忙しい中講演のご依頼を快くお引き受けくださいました。ありがとうございます!

今回お話し頂いたテーマは『ろう者と医療』。前半は柳さんご自身の自己紹介も交えつつ、「そもそも障害とは何か」「ろう者の望む世界はどんなものか」といったテーマについて、参加者にも意見を聞きながらご講演頂きました。
「"障害"というのは歴史的には比較的新しい概念であること」「健康な成人男性を中心とみなす社会体制が"障害"の概念の発端であること」などはっとさせられるようなお話も多く、また「ろうを障害であると思ったことは一度もない。しかし自分が障害者であることを受け入れている」とのお言葉が非常に印象的でした。

後半は柳さんご自身が実際に医療機関を受診した際に困ったことについてお話し頂きました。まず紹介されたのがマスク。口型を読み取ることができなくなるので、マスクをつけたまま話されるととても困るのだそうです。これはぜひ心に留めておきたいことですね。

また、日本語にはオノマトペが多く、そのニュアンスが掴みづらい、といったお話も印象的でした。例えば痛みの性質について説明するとき、「ズキズキ」「ガンガン」「ピリピリ」など色々な形容のしかたがありますが、自分の痛みがどの表現に対応するのか分かりづらいという問題があるのだそうです。こういった問題に対し、ろう者向けのオノマトペ辞典のようなものがあったらいいね、という提案も頂きました。

質疑応答の時間では、ろう者が救急車を呼ぶときの問題についてや、電話リレーサービスについて、デフジョークについてなど多岐にわたる質問が寄せられ、とても示唆に富むお話を伺うことができました。

「ろう者と医療」というテーマは非常に大きなもので、解決すべき課題が山積しているのが現状ですが、将来医療に携わることになる我々が少しでもこの問題に自覚的になることが大切ではないかなと思います。
柳さん、この度は貴重なご講演を本当にありがとうございました!